人間関係に悩む人へ「桐島部活やめるってよ」で自分の生き方を見つめ直す
- 2019.11.07
- 映画 桐島部活やめるってよ 邦画
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男子バレーボール部キャプテンの桐島が部活を辞めることをきっかけに、登場人物の心の動きを描写・表現している作品です。
登場人物の「本音」と「建前」、裏表の表現が作品中でされていてとても面白い作品でした。
桐島部活辞めるってよの登場人物の誰かには共感できてしまうような作品で、自分を客観的に見る機会になります。
また、様々な人の裏表が表れる作品なので、周りの友達や知人はどのような性格か当てはめてみると分かりやすいかもしれません。
「自分の人生に悩んでいる」「人間関係がうまくいかない」と悩んでいる方はぜひ見てください!
1.主に心情が描かれている登場人物の紹介
今回の作品中で心情の描写がされている登場人物を紹介していきます。
1-1.女子4人組
まずは仲良し4人組。周りからはキラキラJKと見られるうようなカースト上位のグループです。
1-1-1.りさ(山本美月)
グループの中心人物のりさ。
桐島の彼女として描写されています。
学校のヒーローと付き合うヒロイン的な立ち位置の彼女はカースト最上位のJKと言えるでしょう。
個人的には、学校のヒーローと付き合っている私すごいでしょという承認欲求の表れのような気がしています。
まとめると、「承認欲求高めのカースト最上位JK」です。
1-1-2.さな(松岡茉優)
のちに紹介する「ひろき」と付き合っているのが「さな」です。
りさにくっつくナンバー2のような立ち位置でしょう。
普段何も考えず流されて生きていく、一般的に承認されそうな事をしているというような感じです。
しかし、自己肯定感の低さからか、承認欲求、独占欲はかなり強そうです。
まとめると、「流され生きる自己肯定感低いナンバー2」
1-1-3.みか(清水くるみ)
「かすみ」とともにバドミントン部に所属するのが「みか」です。
かすみのバドミントンのうまさや、死んでしまった姉のバドミントンでの活躍ぶりから、生まれ持ったものには逆らえない、才能が全てと卑屈になっています。
まとめると、「才能コンプレックス、卑屈JK」です。
1-1-4.かすみ(橋本愛)
「みか」とともにバドミントン部に所属する「かすみ」です。
グループの中でも異質なのが彼女で、この4人組に所属はしているが自分の居たい場所ではないというような感じです。
それでも周りの目が気になり、嫌われたくないのでこのグループにいる。
自分の意見がありながらも表に出すことはできない。
誰にでもいい顔をする八方美人。
まとめると、「八方美人の建前で生きてるJK」です。
1-2.男子3人組
次に、上記の女4人組と仲の良い陽キャラ3人組を紹介します。
1-2-1.ひろき(東出昌大)
野球部に所属していたが今は帰宅部状態で毎日バスケをして遊んでいる生活をしています。
なんでもこなせるが何か夢中になれるものは持ってない。
どこか空虚な人生だと感じているのがこの「ひろき」でしょう。
まとめると、「人生に色がない、空虚高校生」です。
1-2-2.りゅうた(落合モトキ)
お調子者のりゅうたは帰宅部で「ひろき」と「ともひろ」と一緒に放課後バスケをして楽しんでいます。
かすみと付き合っているものの、かすみが公表NGにしているため少しもどかしさを持っています。
特に将来のことについては考えはなく、親のいう通りに生きていく人生です。
まとめると、「レールの上を歩くお調子者」です。
1-2-3.ともひろ(浅香工大)
3人組の最後はともひろです。
りゅうたと一緒で帰宅部に所属し、普段は流されながら生きています。
進路もテキトーに考え、一般的に普通、まともであると言われるラインで生きていく人生です。
まとめると、「一般人」です。
1-3.バレーボール部男子2人
次に、桐島が所属していたバレーボール部のメンバーで主に心情が描かれていた二人を紹介します。
1-3-1.久保(鈴木伸之)
バレーボール部のメンバーである久保は桐島が突然部活を辞めることに一番怒りを覚えています。
クラスでも部活でも苛立ちを抑えられず、人やものに当たるような性格です。
部活に熱く真剣なところもありますが、周りが見えなくなることも多いです。
どこか他人と自分を比較して上であると考えるところがあり、自分より下の人間には強く当たる性格でしょう。
まとめると、「脳筋、自己中高校生」でしょうか。
1-3-2.小泉(太賀)
桐島と同じポジションで控えだった小泉。
桐島の抜けた穴を埋めるために一生懸命練習に取り組むが仲間や特に久保に厳しく当られて、なかなか自分の居場所がないような状態になっています。
桐島と比べられながらも真面目に取り組む姿が印象的です。
まとめると、「比べられ、当られる、不遇立ち位置」です。
1-4.映画部の男子2人
クラスの地味な存在ながら作品中キーパーソンとなっていく映画部2人組を紹介します。
1-4-1.前田(神木隆之介)
映画部に所属する、映画好きな前田。
クラスではとても地味で、教室の端っこにいつもいるようなカースト下層の存在です。
映画に対する執念は本物です。
まとめると、「地味だが好きなことには本気のカースト下層高校生」です。
彼を起点にのちに大事件が起こります。
1-4-2.武文(前野 朋哉)
前田の友人で映画部に所属する武文。
文句はいうが自分が表立って行動することはビビっている。
評論家気質。
誰かの影でぐちぐち文句言ってる一番しょーもない立場。
まとめると、「影でしか動けない口だけ人間」ですね。
1-5.吹奏楽部の女子1人
部活と恋愛の両立に悩む吹奏楽部の女の子を紹介します。
1-5-1.あや(大後 寿々花)
「ひろき」に想いを寄せているが言葉では伝えられないのが「あや」です。
放課後ひろきがバスケをしているのを校舎から眺めているだけ。
屋上で楽器を吹きなんとか自分の存在を知ってもらおうとするがうまくいかず。
部活と恋でどっちつかずになっており、日々モヤモヤしている。
まとめると、「言葉は無理だから音で自分の想いを届ける不器用JK」です。
2.本性が現れるシーン
1章では登場人物のプロフィールや性格(めちゃめちゃ主観的ですが)を紹介しましたが、その性格が大きく変化していった、「桐島が学校に現れたと噂が流れ、登場人物が屋上に集まったシーン」を紹介していきます。
2-1.「桐島が学校に現れたと噂が流れ、登場人物が屋上に集まったシーン」
このシーンでは大きな場面として2つ押せておきたいポイントがあるので、その2点を紹介したいと思います。
2-1-1.噂が流れる直前のシーン
ここでのメインの登場人物は、「さな」と「あや」、「ひろき」、「りさ」、「久保」です。
2-1-1-1.「りさ」と「久保」
桐島が部活を辞めた原因が「りさ」にあるのではないかと決めつけた「久保」は教室でりさに対して問い詰めます。
この久保の冷静さを失うところはこの久保という人間性を表すのにぴったりでした。
自己中心的な考えと決めつけで行動する久保を象徴しています。
一方問い詰められたりさは彼女なのに何も相談なく部活をやめた桐島に対して怒りを覚えていました。
自分は彼女なのに何も知らない、自分は桐島のなんなのか?と自分の承認欲求が収まらないりさはなんとしても桐島を探そうとします。
学校のヒーローと付き合っている自分というブランドがなくなったりさは桐島への怒りがどんどん上昇していきます。
桐島を心配するというよりかは自分の心配をしているように見えたりさの自分を守るような考え方が印象的でした。
2-1-1-2.「あや」と「さな」
「ひろき」に想いを寄せる「あや」は毎日ひろきがバスケをしているコートに向けて、屋上から楽器を吹いていました。
言葉では伝えられない想いを届けるかのように毎日毎日屋上から楽器を吹いていました。
そんなあやの想いに気づいていた「ひろき」の彼女である「さな」は苛立ちを隠せません。
独占欲・承認欲求が強いさなは、あやに対して大胆な行動に出ます。
さなとひろきが学校でキスしているところをあやに見せつけるという大胆な行動に出ました。
いつものようにひろきに向けて楽器を吹いていたあやは、当然ひろきとさなが一緒にいるということを把握しています。
それを知っているさなは見せつけるようにひろきと強引にキスを始めます。
あやが楽器を吹くのをやめ逃げ出してしまい、音が聞こえなくなったところでキスを止めるというなんとも戦略的なキスでした。
あやはその後、気持ちが吹っ切れ、吹奏楽部の練習に戻り心は部活一本になりました。
ひろきには何も伝えず、自分の独占欲と承認欲求でしたキスという行動に私は驚きを隠せなかった。
さなの独占欲が滲み出たシーンでした。
人間の欲が垣間見えたシーンで私は印象的でした。
2-1-2.屋上に全員が集合したシーン
そんなさなの人間性が見えたキスシーンの直後にひろきの携帯に「桐島が屋上にいる」と電話がきました。
この一報で作品はクライマックスへと向かいます。
2-1-2-1.「みか」
部活中で体育館にいたみか。
隣で練習しているバレー部に桐島が屋上に現れたと情報が入ります。
久保と小泉はそれを聞き一目散に屋上へと向かいます。
その時です、みかは小泉に”行かなくていい!”と叫びます。
そして小泉をおいかけ屋上へ向かいます。
生まれ持った才能にコンプレックスを感じるみかは小泉の立場・状況を一番理解していました。
桐島と比べられる。どんなに練習しても桐島のようにうまくはいかない。
生まれ持った才能が違うから小泉は小泉で頑張ればいい。
桐島に左右されている人生は違う。
そんなことを思っていたように感じます。
そんな想いから”行かなくていい!”という言葉が出たのだと思います。
これは小泉に向けた言葉でしたが、みか自身にも放った言葉だと捉えました。
姉やかすみと比べて自分は才能がない。
だが自分は自分で一生懸命頑張ればいい。
今までのコンプレックスをかき消すかのようなその発言でみかが殻を破れたシーンだと感じました。
そして登場人物全員に桐島が屋上にいることが知れ渡り、全員屋上に駆け上がっていきます。
一方で映画部の前田と武文は屋上でゾンビ映画の撮影を行っていました。
そして「りさ」「さな」「みか」「かすみ」「ひろき」「りゅうた」「ともひろ」「久保」「小泉」「前田」「武文」が屋上に集います。
しかし、「桐島」はどこにもいません。
「久保」はおなじみの熱くなりやすさで前田の胸ぐらを掴み”桐島はどこだ”と問い詰めますが当然前田は知りません。
怒りが収まらない久保はゾンビ映画の撮影に使っていた小道具を蹴り飛ばします。
ここからです。
全員の心情が大きく動き始めます。
2-1-2-2.「武文」
まずは武文です。久保に小道具を蹴られて怒り、謝罪を要求しました。
今までの武文は自分が表に立つことはせず誰かにいつもやってもらうような人でしたが、この時はついに自分が表に立ち、久保と向き合います。
武文の大事なものに傷をつけた、そこでついに武文は一歩踏み出しました。
武文が弱さに打ち勝った場面でした。
しかし、久保は武文を下に見ており、謝らない。
2-1-2-3.「前田」
見かねた前田がゾンビ役の人たちに”全員襲え!”と指令を出します。
クラスのカースト上位には歯が立たない前田がついに自分の守るべき映画のために動きます。
大事なものを守ために自分の弱い部分と向き合う印象的な前田の場面でした。
2-1-2-4.「かすみ」
映画部vsその他の争いが始まりました。
その光景を見ていた「さな」は面白がって煽るような発言をします。
それを聞いたかすみはなんとさなに平手打ちをします。
周りの目を気にする、女同士の関係維持のために建前で生きていたかすみがついに本音で動きます。
今までのストレスをはらすかのような平手打ちは痺れました。
その後なんとか喧嘩は収まり、みんなが屋上から降りていきます。
2-1-2-5.「ひろき」
残ったのは映画部とひろきのみ。
その状況でひろきは前田の持っていたカメラについて質問します。
それを夢中になって答える前田のすがた、そして小道具のために体を張った映画部の姿を見て、自分の空虚さに気づきます。
何かに本気になれない自分と本気になっている映画部の部員を比較し、何かに夢中になることへの憧れや想いが浮き彫りになります。
なんでもできるが何も持ってない、そんなひろきが新たな一歩を踏み出す予感をさせたところで「桐島部活辞めるってよ」が終わります。
3.最後に
今回の「桐島部活辞めるってよ」は人の裏表、本音と建前を表現した面白い作品でした。
対照的な人物を比較させ、自分の本性を浮き彫りにしていくスタイルが印象的でした。
また、作品中で印象的こととしては、「自分たちが偉い、自分たちの方が偉い」という固定概念に囚われ自己中心的な発言をする人たちです。
誰かとの比較でどちらかが勝つという考え
↓
自己中心的な世界の中での自分はすごいことをしているという過信
↓
誰もが何かをやっていてそこに優劣はないという批評的な目線
↓
人間に優劣はないと理解した上で誰もが輝けるように行動していく
この順序を踏んで人は成長していくのではないかなと感じました。
その段階をこの作品では表現している気がしました。
自分の発言・行動を改めて見直し、自分の本音と建前をしっかり認識し、素直に生きていきたいです。
皆さんも、この作品から人間関係の難しさや、人の成長を感じて、実生活に生かしてみてください。
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